③仕入控除税額の計算の特例について
この特例が適用となるのは以下の通り。
・国や地方公共団体の特別会計
・消費税法別表第三に掲げる法人 (社会医療法人はこれ)
・人格のない社団
ただし次の場合、特例計算は不要です。
・簡易課税制度を適用している
・特定収入割合(後述)が5%以下である
<特例の内容>
通常、原則課税を適用して計算を行っている場合、消費税は課税売上に係る消費税から課税仕入に係る消費税を差し引いた額が納付税額となります。
ただし、医療法人は社会保険診療収入等、非課税売上が多く、課税売上が対価性を持つ売上に占める割合が少なくなっています。
その為、消費税の計算の際は非課税売上に対応する課税仕入に係る消費税を仕入控除税額から除外します。
ここまでは通常の法人でも行われることですが、特例が適用となる法人については、対価性のない不課税売上のうち、補助金や寄付金などの収入を特定収入とし、課税売上(税抜)・非課税売上・特定収入の合計額のうち特定収入の占める割合(以下、特定収入割合)が5%を超える場合、特定収入に対応する課税仕入に係る消費税も仕入控除税額から除外する調整を行わなければなりません。
通常の医療法人等でも課税売上割合による仕入控除税額の調整によって、
最終消費者でないにもかかわらず、かなりの仕入消費税額を負担しているわけですが、
社会医療法人で特定収入割合が5%を超える場合は、更にその負担が増えることになります。
また、仮に今は5%以下であっても、今後社会医療法人への補助が手厚くなり、特定収入が増えて、5%を超えてしまう可能性も出てきます。(補助が手厚くなること自体は喜ばしいことですが・・・)
消費税の増税が検討されておりますが、現行の計算方法のまま増税という事になると当然負担も増加してしまいます。
今後の税制改正によってどのように状況が変化するかわかりませんが、
現状では社会医療法人への移行のデメリットと言えるでしょう。