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宿日直料に対する課税の裁決事例

救急病院等に勤務する医師等に対する宿直料は、本来の職務に従事したことに対する対価であるから、所得税基本通達28−1ただし書(非課税の宿日直料)は適用できないとした事例

事案の概要

本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、その設置する救急病院等に勤務する医師、看護師、介護士及び事務員に支給した宿直料について、所得税基本通達28−1《宿日直料》(以下「本件通達」という。)に定める宿直料又は日直料の一部を非課税とする取扱い(以下「本件取扱い」という。)の適用があるとして、夜間の勤務1回につき4,000円までの金額を課税の対象としていなかったところ、原処分庁が、当該夜間の勤務も通常の勤務であるから本件取扱いの適用がないとして行った原処分に対し、請求人が、本件取扱いは、夜間の勤務により生ずる追加的費用の弁償については課税しない趣旨で定められたものであるから、夜間の勤務である宿直については一律に適用されるとして、原処分の一部の取消しを求めた事案である。

裁決要旨

請求人は、所得税基本通達28−1に定める宿直料又は日直料の一部非課税の取扱いについて、宿直料が実費支弁の性格を有するので、宿直における仕事の内容及びその責任の軽重などにかかわらず一律4,000円までを非課税とするものであり、宿直とは夜間勤務のことをいうのであるから、請求人が設置する救急病院等に勤務する医師等に対する宿直料は4,000円まで非課税とすべきである旨主張する。  しかしながら、所得税基本通達28−1が、ただし書において、課税しない宿日直料の対象となる宿日直勤務から本来の職務として行ったもの、通常の勤務時間に行ったもの、代日休暇が与えられるもの及び給与比例額により支給されるものを除いていることからすると、同通達の取扱いの適用対象とされる宿日直勤務とは、所定労働時間外または休日において、本来の業務に従事しないで行う構内巡視、文書等の収受又は非常事態に備えての待機などをいうものと解され、夜間行われる勤務であるからといって直ちに同通達の適用対象とされる宿日直勤務に該当するということはできず、また、同通達が夜間の勤務1回について一律4,000円までを非課税とする旨を定めたものであると解することはできない。よって、請求人の主張は採用できない。

(国税不服審判所 平成21年3月19日裁決)
詳細につきましては下記のホームページをご覧ください。
http://www.kfs.go.jp/service/JP/77/15/index.html

 

 

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