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出資持分のない医療法人への円滑な移行に関する調査研究


このほど厚生労働省は平成22年度医療施設経営安定化推進事業としておこなわれた「出 資持分のない医療法人への円滑な移行に関する調査研究」報告書「出資持分のない医療法人への円滑な移行マニュア ル」 を発表しました。

調査研究について


調査研究の背景

厚生労働省の医療法人数の年次推移によると医療法人のうち持分あり医療 法人の割合は90.7%(平成23年)を占めおり、持分なし医療法人への移行がスムーズに行われていない現状がある。

医療法人は医療法により剰余金の配当を禁じられているため、内部留保金額が多額になっている。

病院・診療所経営者の平均年齢は、病院では平成12年で61.5歳であったのが、平成20年では63.1歳とあがってきており、着実に高年齢化が進んでいる。

今後、相続など の問題や社員の退社による払戻し請求が発生した場合には、医療法人の存続自体が危うくなる現状がある。

医療法人の非営利性の徹底と地域医療の安定供給の観点から、持分なし医療法人への移行を選択肢の一つとして、その移行への障害要因とそれを乗り越える方法を探ることを目的として実施されたものである。


現状の問題点
  1. 持分あり医療法人の出資社員が死亡した場合には、相続人に対して当該出資持分に係る相続税 が多額に課税される問題点がある。
  2. 出資者たる社員が退社(死亡退社も含む。)した場合には、その出資持分の払戻し が多額となる問題点がある。
移行の障害要因

移行の障害要因として挙げられた主なものは次のとおりである。

  1. 持分なし医療法人に移行するためには出資持分の放棄が必要で、必要な基準を満たさなければ医療法人に贈与税課税の問題が生じる。
  2. 出資持分はオーナーシップの源泉であり、放棄できない。
  3. 同族経営を維持したいが同族制限のハードルが高い。
  4. 都道府県の医療法人担当者に税法の知識がなく、移行の税務上の問題点を把握していない場合があり相談できない。
要望事項

要望事項として挙げられた主なものは次のとおりである。

  1. 医療法人の種類が多くそれぞれの要件が異なるなど理解しにくいので、医療法人制度の簡素化を望む
  2. 自治体により運用が異なる場合があるので統一してほしい
  3. 移行に際し医療法人に贈与税が課せられないためには、4疾病5事業を担う連携医療機関として医療計画に掲載・告示されていなければならないの で、4疾病5事業の範囲を拡大してほしい。
  4. 贈与税が課せられないための要件は社会医療法人の要件と同等なので緩和してほしい
  5. 社会医療法人の認定取消時における法人税等課税の緩和措置
  6. 救急医療等確保事業以外の病院、診療所、介護老人保健施設の固定資産に係る固定資産税、不動産取得税の非課税措置

調査報告書の詳細な内容についてや移行マニュアルの内容については下記の厚生労働省のホームページをご覧ください。

「出 資持分のない医療法人への円滑な移行に関する調査研究」報告書(全体版)

「出 資持分のない医療法人への円滑な移行マニュアル」(全体版)

 

 

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