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税制調査会「社会保険診療報酬の所得計算の特例」の検討


「社会診療報酬の所得計算の特例」は、小規模医療機関の事務負担の軽減と経営の安定化を図り良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図る ことを目的に創設されたものですが、平成24年の税制について協議を行っている税制調査会において制度見直しを促す、会計検査院からの意見表示がありまし た。「社会診療報酬の所得計算の特例」については、民主党税制改正PT(H22.11.8)においても今後検討を求める事項として上げられており、報道に よると24年度の税制改正では具体的な縮小・廃止までは示せないが、将来的な見直しの方向性を盛り込みたいとのこと、今後 見直しの方向で論議されることになります。

所得計算の特例の内容

医業又は歯科医業を営む個人又は医療法人が、社会保険診療につき支払を受ける金額が5,000万円以下であるときは、所得税又は法人税の計算上、概 算経費率により計算した金額を必要経費又は損金に算入することができます。

(本来の所得計算)

社会保険診療報酬−実際の必要経費=所得

(特例計算)

社会保険診療報酬−概算経費額=所得

(措置法差額)

概算経費額−実際の必要経費=措置法差額

(概算経費額)

社会保険診療報酬 概算経費額
経費率
加 算額
 2,500万円以下
72%
― 円
 2,500万円超  〜  3,000万円以下
70%
500,000 円
 3,000万円超  〜  4,000万円以下
62%
2,900,000 円
 4,000万円超  〜  5,000万円以下
57%
4,900,000 円

会計検査院の意見表示内容

1.多額の自由診療収入

多額の自由診療収入があっても社会保険診療報酬が5,000万円以下であることにより特例を適用している。

特例の基準は、医業事業者の経営規模を測るための基準としては必ずしも適切ではなく、このため小規模医療機関を対象にその事務処理の負担を軽減する という特例の目的に十分沿ったものとはなっていない。

2.開差

特例の概算経費率と実際経費率に開差があることにより多額の措置法差額が生じている。

概算経費率と実際経費率に開差があることにより多額の措置法差額が生じている状況は、税負担の公平性の見地からは適切とは認められない。

3.負担の軽減

特例適用者のほとんどが実際経費を計算した上で、概算経費と比較して有利な方を選択している。

特例適用者のほとんどが実際経費を計算した上で、概算経費と比較して有利な方を選択して申告している現状から見ると、申告書等の作成事務上は、小規 模医療機関の事務処理の負担を軽減するという特例の目的は達成されているとは認められない。

4.検証

特例の有効性について適切な検証が行われておらず、見直しを行うための検討・検証が十分になされていない。


検討の方向性

上記の1〜3のような実態を踏まえて、本特例の趣旨に立ち返って、本特例の在否を含めて、制度のあり方について再検討するなどの措置を講ずるよう意 見を表示する。

 


詳細につきましては下記の税制調査会ホームページでご確認ください。


平 成23年度 第17回 税制調査会(11月15日)会議資料一覧



 

 

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